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「こころのリスク状態」について思うこと

以前も書いた「こころのリスク状態」について。

こころのリスク状態とは、こころの調子が崩れ、こころの病気の一つである精神症(サイコーシス)になる危険性が高くなっている状態です。治療を行うことで、多くの人がこころのリスク状態から回復していくことができます。

10代から30代前半の思春期や青年期にある若い人たちに起こりやすいことが特徴です。

英語ではat risk mental state(アットリスク精神状態)と呼ばれています。

こころのリスク状態から、およそ10~30%の人が、統合失調症などの精神症(サイコーシス)に発展していく可能性があると考えられています。精神症(サイコーシス)にならない場合でもその他の精神疾患になる方もいます。いずれの場合でも治療により回復していくことができます。

SAFEクリニック より

定義は上の引用の通りで、平たく言えば、「精神疾患にかかりやすくなっている状態」と言えるだろう。

自分が「こころのリスク状態」と言われ、統合失調症と診断されるまでに約2年半かかった。そして今、病気になってから(といっても、いつから病気だったのかは曖昧なんだけど) 2年がたった。今になって思うのは、

病気になるまでの時間よりも、病気になってからの人生のほうがずっと長い

ということ。まだまだ自分も回復の途中なんだけど、本当にそう思う。

 

「こころのリスク状態」と言われたとき、どうしても病気になってしまう自分しか想像できなくて、少し余命を通告されたような気持ちになった。当時の生き方は目の前にあることをがむしゃらにやるだけで、その時その時の研究や恋愛のことしか考えなかった。将来のことなんて全然考えてなかった。

これは、自分の計画性のなさも原因なんだけど…。なぜ健康なうちに着実な努力ができなかったんだろうとすごく後悔している。もし勉強や努力して実力があれば病気にならずに済んだのではないか、と内心では今も思っている。

 

だけどね。

病気になるからといってそこで人生が終わるわけではない。回復治療、場合によっては社会復帰はそこから始まる。就職するにしても、学業を続けるにしても、あるいは何かをあきらめるとしても、時間はそこで止まってくれない。

だから、同じような状態に今いる人は、自分のような時間の使い方をしてほしくない。将来どうなりたいのかしっかり考えて、今できる努力を着実にしてほしい。

ちなみに今の自分は、きちんとお仕事を続けて、周りの人を笑顔にできればいいなと思う。

出生前診断やがん診断もそうだけど、そしてそれらの病気と精神疾患を一緒にすることはできないけれど、技術が進歩して、病気の早期診断が可能になった。それは予防や治療の面でとてもいいことだけど、その後の人生もずっと長いということを人は常に考えなければならないのかな、と思う。

 

当事者の親御さんや周りの方へ。

彼、彼女が将来どうなりたいのか一緒に考えてあげてください。もしそれができなくても、いてくれればいいんだという気持ちを伝えてあげてください。そして、決して焦らせないでください。自分も病気になって周りにずいぶん心配をかけています。けれど、誰も何かをせかしたりはしませんでした。「ゆっくりやればいいんだよ」と伝えてくれました。それが今の自分を支えてくれています。